一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



「なんでしょう?」



私は早くここから立ち去りたいのに。


でもお客さんに呼ばれて、無視できない。



「バイト何時まで?」


「終わるまで待ってるから、終わったら俺たちと一緒に遊ばない?」



ナンパだ。


ナンパなんて初めてされた。


ただでさえ男の人が苦手なのに、こういう時のかわし方は尚更知らない。


どうしよう。


店長と先輩もまた違うお客さんを接客中だ。


助けを求められない。



「ねぇ、ちょっとだけでもいいからさ」



手がこちらへ伸びてくる。


掴まれる!


怖い。


体が強ばる。


嫌なのに、声が出ない。


息が苦しい。



「おい、嫌がってんのわかんないわけ?」



なんで君はいつもヒーローのように登場するんだろう。





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