一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「……琥珀くん」
やっとの思いで声に出たのは琥珀くんの名前だけ。
「んだよ、邪魔すんなよ」
「まずあんた誰?うざいんだけど」
2人組のお客さんは隣にいる琥珀くんに詰め寄りつつ、こちらへ手を伸ばしてきた。
咄嗟にそれに気がついた琥珀くんは、私を大きな背中へと隠してくれる。
「うざいのはそっちじゃん?ってか、俺の彼女に手出さないでくれる?」
……へっ、今なんて?
「ちぇっ、彼氏持ちかよ」
「んなら、先に言えよな」
なんて呟く2人の声なんて私には届かず、さっきの言葉が頭の中をこだまする。
“俺の彼女”
その場をしのぐための嘘だってことはわかってる。
それなのに、その言葉になんでこんなにもドキドキしてしまうんだろう。
「瑠莉、大丈夫か?」
意識が戻ってきたのは、琥珀くんにそう問いかけられてから。