一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
.
「瑠莉ちゃん!」
学校に着き靴を履き替えていると、背中越しに声をかけられた。
この声は中野くんだ。
隣には友香ちゃんもいるし、大丈夫。
「中野くん」
一度に深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから振り返った。
友香ちゃんは静かに私たちの様子を見てくれている。
「体調、大丈夫?」
先に話を振ってきたのは中野くん。
その言葉に私はこくんと頷いた。
「うん、大丈夫。昨日は驚かせちゃってごめんね…」
中野くんは優しさで声をかけてくれただけなのに、私がトラウマを抱えてしまっているばかりに一瞬でも悪者のような扱いをされてしまった。
「いや、俺こそ瑠莉ちゃんになんか悪いことしちゃったかなって思ってさ、ごめんね」
「ううん!中野くんは何も悪くないから気にしないで!」
眉をはの字にして申し訳なさそうにする中野くんに、それは違うと急いで訂正をした。
こんなに責任感を感じさせてしまっていたなんて。
本当に申し訳ない。
「そっか。また体調悪くなったり手伝って欲しいこととかあったらすぐ言ってね」
「うん、ありがとう」
中野くんはとても優しい人だ。
どこかまだ申し訳なさを残した笑顔に、もう一度心の中で謝罪と感謝を伝えた。