一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「ふーん、じゃあ俺もサボろうかな」
不良感満載な琥珀くんの口から出たその言葉は全然違和感はないけれど、思い返せば琥珀くんもいつもサボってはいなかった。
今この時間、一緒に悪いことをしている。
何だかちょっぴり楽しささえも感じてしまっている。
「そういや、ごめん……怖かったか?」
「えっ」
そう言われてから思い出す。
ついさっきまで、ずっと琥珀くんに後ろから抱きしめられていたこと。
身を隠すためとはいえ、薄暗い個室に男の子と2人きりでこんなに密着して……
落ち着いていたはずのドキドキが大きくなって、頬が赤く染まっていくのが自分でもわかる。
この部屋が暗くてよかった。
そして、不思議と何故か怖くはなかった。
体も震えていない。
息も苦しくなかった。
自分でもびっくりするくらい。
男の子はみんな怖くてたまらなかったはずなのに。
琥珀くんは────特別みたい。
ホームルームの時間の終わりを知らせるチャイムが鳴ってから、私たちはバラバラに戻った。
教室へ戻ると友香ちゃんがとても心配してくれていて、琥珀くんとの秘密を守るためにお腹が痛くなって保健室に行っていたと嘘をついてしまった。
授業中も隣の席には琥珀くんがいる。
この日はずっと、体に染み込んだ琥珀くんの温もりが忘れられなくてドキドキが治まらなかった。