一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
私の願いが届いたのか、ちょうど校内中にチャイムが流れた。
「やばっ、早く教室に戻らないと遅刻にされるよ!」
「んーもう!あと少しだったのに!行こっ!」
先生が来る前に戻らなければと、2人はパタパタと足音を立てて走り去って行った。
良かった、見つからなかった。
チャイムのおかげで難を逃れることができた。
胸をなでおろしてホッと一息つく。
「安心してるけど、瑠莉はいいのかよ、時間」
「……!」
琥珀くんに指摘されてハッとした。
やばい、あの子たちだけじゃなくて、今ここにいる私も琥珀くんも遅刻じゃん。
私たちのクラスの担任は時間ぴったりに動く人で、きっと今から走って行ったとしても遅刻決定だ。
しかも琥珀くんと一緒に登場なんてもっと注目を浴びてしまう。
「もう、いいかな……」
朝のホームルームだけとはいえ、サボるのは今まで生きてきて初めてのことかもしれない。
琥珀くんとならいいかなって、思ってしまったのかもしれない。