若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
「ナースの誰かとか?」

「まさか。なんでそうなるんですか」

 食べやすく一つずつラップに包まれたおにぎりの、二個目を開けながら石橋先生に答える。
 一つ目の具はシャケだった。これは何だろう? あ、昆布だ。美味しー。シャケもだけど、昆布もムチャクチャ美味しい。これ、炊きたての温かいご飯だったら、もっと美味しいだろうなぁ。

「いや、俺、何回か差し入れってもらったことあるし」

「あー。男性医師ならあるかもですねー」

 いいなー。
 でも、それはいわゆる医師と結婚したい系の女子だよね。みんながみんなじゃないけど、やっぱりそういう人いるし。
 そして、当然、自分にそんなことを期待して差し入れをする看護師さんはいない訳で、私は弁当をもらったことなど一度もない。

「やっぱ女医さんにはないか」

 石橋先生も笑いながらカップの蓋を開ける。ぶわっと独特でジャンクな匂いが一気に広がる。
 コンビニのおにぎりやカップ麺。それは、いつもの自分と同じようなメニュー。一応、私はゆっくり食べられる(可能性が高い)日曜日だけはお弁当を買ってくる。コンビニのだけど。

「今は差し入れもらわないんですか?」

「うん。勘違いさせても悪いしね」

「でも何回かもらったんですよね?」

 きっと、さぞかし気合の入ったお弁当だったのだろう。
 いいなー。美味しかったのかなぁ? お弁当差し入れるくらいだから、きっと料理に自信があったんだよね?

「突っ込むね〜。まあ何回かはもらったし、お礼にご飯行ったりもしたかな」

「なるほどね。で、つまみ食いもしたと」

「響子先生〜」
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