シンガポールから出られない!
「日本から来ていただき、ありがとうございます。お疲れではないですか?」

「いえ、わくわくして全然疲れてないです!」

私とリシさんはSNSを通じて仲良くなった。リシさんは若いのに貿易会社の社長をしていて、英語はもちろん色んな国の言葉が話せるすごい人だ。日本語も話せるため、安心できる。英語はまあまあわかるけど、読み書きは苦手だから。

「ちょうどお昼ですし、レストランに入りませんか?おいしいお店が近くにあるので」

リシさんに提案され、私の目が輝く。シンガポールに来る前に、現地のおいしそうなものを調べたんだ!お腹が急に空いてくる。

「楽しみです!チキンライスとカヤトーストが食べたくって!」

はしゃぐ私をリシさんは微笑みながら見つめ、「行きましょうか」と言い歩き出す。でも歩き出してすぐ、私の持っていたキャリーケースはリシさんに取られてしまった。

「えっ?」

「僕に持たせてください」

シンガポールの男性は女性への扱いが優しくて、レディーファーストが自然とできたりするって聞いてたけど早速されるなんて……。何だかドキッとしちゃうな。
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