シンガポールから出られない!
チラリと少し上を見れば、リシさんの整った顔立ちが見える。さらに心拍数が上がったような気がした。

「リシさん、かっこいいからモテるんじゃないですか?」

そう訊ねると、リシさんは不思議そうな顔をして「全然そんなことないですよ」と笑う。だけど、絶対に嘘だろうと言いたい。だって、さっきからチラチラと綺麗な女の人たちが見ているから。

「ご飯を食べた後はどうしますか?どこか行きたい場所とか、ありますか?」

リシさんに訊かれ、私はすぐに「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイに行きたいです」と答える。約101ヘクタールもある巨大植物園だ。

「わかりました!ご飯を食べたら、車でそこへ向かいましょう」

イケメン社長さんをガイドにしてるのか、と思いつつ初めての海外旅行は幕を開けたのだった。



ガーデンズ・バイ・ザ・ベイを楽しんだ後は、もうすっかり日が暮れかけていた。ゆっくり見て回ったせいだ。

「もうこんな時間ですか。早いですね」
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