社長じゃない僕は、君のために何ができる? 〜社長、嫌いになってもいいですか?シリーズ 最終章〜
うつ病になったこと。
そのせいで、新卒で入社した会社を休職していること。
月に2回、同じ曜日、同じ時間に病院に通っていること。
夜眠るために、睡眠薬が必要になってしまったこと。
そのせいで、昼間は頭痛がひどいこと。
雨音から聞けたのは、何故彼女が、平日に仕事ができないのかの理由だけ。
それも、雨音以外からも聞けるような、客観的な事実ばかりで、彼女の気持ちは何一つ聞けやしなかった。

……ねえ、雨音。
僕が君から聞きたかったのは、そんな、君以外の人間でも答えられるような事実じゃないんだよ。
君は、どうして、うつ病になってしまったの?
新卒で入った会社で、一体何があった?
どうして……僕に1度も連絡を寄越さなかった?
どうして……僕を頼ってくれなかった?

僕は君にとって、そんなにも頼りない男なのか……?
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