社長じゃない僕は、君のために何ができる? 〜社長、嫌いになってもいいですか?シリーズ 最終章〜
結婚へのカウントダウン
僕と雨音は今、雨音のご両親に、結婚の許可をもらうため彼女の実家に向かっている。
正直僕は今、大きな取引の前日以上に緊張している。
解決しなければいけない問題があることを、僕はすでに知っていたから。

「うん……だから……そうじゃないって!お父さん!!」

雨音がご両親に結婚の挨拶をすると連絡を入れた時、僕もその場にいた。
最近の雨音は、僕に悲しげな表情か、感情が見えない表情しか見せてくれなかった。
笑顔どころか、怒った顔、焦った顔すら、僕は長らく見ていない。
だからこそ、雨音が久しぶりに見せた表情に僕は焦りもした。
でも、その理由は何となく心当たりがある。
たぶん、僕のことだ。

「……ちょっと……まずいかも……」
「え?」
「父が……かなり怒ってる」

やはり。
雨音はまだ、23歳。
そして僕は彼女よりも10歳以上も上でしかも元雇い主。
雨音は、すでにそのことも説明していたのだろう。

「部下に手を出す男なんか信用できるかって……」


予想はしていたけれど、言葉にされると胸にくる。
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