エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


 *******


「無事でよかった……」

煌斗に背や髪を撫でられながら、優杏は彼の腕に強く抱きしめられていた。
お互い濡れ鼠だが、そんなことはどうでも良かった。

彼の体温と自分の体温が徐々に溶け合っていく。
ふたりの周りで大きく渦を巻いて、ひとつの熱になっていくようだ。

「すぐに、俺の家に行こう」
「え?でも……」

「西側が少し崩れかけている。急ごう」

優杏は煌斗に言われるがまま、着替え程度の荷物を持つ。
戸締りをしてから家を出た。ムサシも一緒に連れて行く。


< 80 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop