エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


檜の湯船にゆっくり浸かって、やっと優杏は落ち着いてきた。
今日一日の出来事が信じられない。

朝はいいお天気だったのに午後から雨になり、打ち合わせが終わって
やっと家にたどり着いた頃には土砂降りで、夜にはがけ崩れ……。

そして、日付が変わる頃には煌斗の家にいる。

(酷い一日だった……)

六月とはいえ、髪の毛まで濡れていた優杏はお風呂の温もりに救われた気分だ。

(それにしても、物音ひとつしない)

なんとなく落ち着かなくなるほどの静けさだ。使用人も夜はいないのだろう。

風呂から出ると持ってきたスウェットに着替え、ドライヤーで長い髪を乾かした。

優杏が身支度をしてから煌斗を探すと、彼はリビングルームで深夜のニュース番組を見ていた。
爆弾低気圧による関東地方の豪雨について特別番組になっているようだ。


雨は峠を越えていたが、あちこちに被害が出ているらしい。
秋本家の側で起きたがけ崩れなど、小さな規模だったからニュースにはなっていなかった。



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