エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
キッチンの明るい窓際には、簡単なテーブルセットが置かれていた。
「普段はダイニングルームではなく、ここでササっとすませるんだ」
「お父さまもですか?」
「何しろ、俺も親父も忙しいからね。食事に時間をかけられない」
「身体によく無さそう……」
「それ、うちの家政婦にも言われるよ」
渋い笑顔で煌斗が言った。
「家政婦さんは通いですか?」
「ああ、昔から通ってくれる人がひとりだけいるんだ」
たったひとりの家政婦が取り仕切っていると聞いて優杏は驚いた。
「こんなに広いお屋敷なのに?」
「庭は業者に任せているし、掃除も定期的にハウスクリーニングしてもらうからね。
普段は俺たち外食がほとんどだから、家政婦ひとりでも大丈夫だよ」
片岡家らしい、合理的な考え方だ。
この家には長く‶主婦″がいないから、割り切っているのだろう。
(確か、煌斗さんのお母様は随分前に離婚されたはず)