離婚却下、御曹司は政略妻を独占愛で絡めとる
「ああいうことって、いずれお互いのために離婚するってこと?」

わかってるなら言うなよと思いつつ、俺は車窓を眺める。

「みんなの前で言っておいた方がいいと思って。瑛理が結婚したってわかったら、ショックを受ける女子がたくさんいるもの」
「はあ?」
「だから、私とは恋愛結婚じゃなくて、仕方なくだって伝えておいた方がいいかと思ったんだよ。離婚前提なら、その子たちにも希望があるでしょ」

俺は額を押さえ、深いため息をついた。

「そういう女子がいる前提で話すな」
「具体的に言えば、サキコちゃんとか、桑原さんとか、山田さんとか。当時、瑛理のこと好きだったんだよ。気づいてないでしょ」
「当時だろ、当時」

つまり、そういった女子に気遣いできる程度に柊子は俺のことがどうでもいいのだ。恋愛感情など欠片もなく、他の女子と幸せになればいいと思っているのだ。

それは脱力してしまいそうな現実。俺の片想いはこうして浮彫になり、俺は余計に柊子に近づけなくなってしまう。

「とにかく、河東みたいなのと付き合うなよ」

無駄かもしれないけれど、言わずにはいられない。柊子はどうでもよさそうな顔をしている。

「付き合わないよ。私が恋愛するとしたら、瑛理と別れてから」
「俺は別れる気はないけど、俺の後にああいう男を選ぶとしたら、俺のプライドが許さない」

苛立ちからつまらない言い方をしてしまった。
わかっているのだが、どうしても柊子と話していると持前のコミュニケーション力が発揮できない。自分にも鈍感な柊子にも嫌気がさして、俺はぶすくれた顔で車窓を眺める。

「なにそれ。ホント、自分本位だよね。瑛理って」

柊子は呆れたような憤慨したような口調だった。
俺の恋は進むどころか後退しかしていないのだった。



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