離婚却下、御曹司は政略妻を独占愛で絡めとる
引っ越し日はゴールデンウィークに決まった。
俺と柊子が結婚してひと月半が経過し、ゴールデンウィークの引っ越しまであと半月もない。

俺は古い家具を運び出す手筈を整え、室内のクリーニングの手配をした。
カーテンなども取り替えれば、部屋の雰囲気も変わり新婚夫婦にふさわしい部屋になるだろう。
俺が終業後毎日コツコツいろんな手配をしているのを、兄は「巣作りする野鳥みたい」と笑っていた。鳥と一緒にするなと思いつつ、言いえて妙だなとも思う俺だった。新妻に新しい住まいを気に入ってもらいたいのだから。

柊子の家に挨拶に行った日の週末、俺と柊子は都内のデパートに家具を見に来ていた。
柊子はホームセンターや海外輸入家具の店で揃えたいと言っていたのを俺が押し切った形だ。
どうせ柊子はすぐに同居解消になるのだから、安い家具でいいと思っているのだろう。
そうはいくか。それなりの金額のする家具を買って、居心地のいい住まいを作る使命が俺にはある。
しかし、そんな張り切りは見せられないのであくまで『面倒だけど、仕方ない』というスタンスを取る。

それなりにハイクラスな家具の並ぶ売り場を見て回る。
今日一番の買い物はベッドの予定だ。シングルベッドのスプリングを見ていると、柊子がおずおずと言う。

「あのね。友達に言われたんだけど」

柊子は今日待ち合わせてからずっと困ったような顔をしていて、俺は家具選びに気乗りがしないのかと心配していた。しかし、次に柊子の口から出た言葉に驚いた。

「ダブルベッドがいいんじゃないかって」
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