OL 万千湖さんのささやかなる野望
工事の人にお茶やお菓子を差し入れたり。
通りかかった近所の人にもお茶をご馳走したりしているうちに、ユニットが組み立てられる日がやってきた。
万千湖も駿佑もコートを着込み、白い息を吐きながら自分たちの家が運ばれてくるのを息を詰めて待っていた。
天気はいいが、かなり寒かったのだが。
たくさんのトラックやクレーンが到着し、家が組み立てられはじめると、あれよあれよという間に家が出来ていくのが面白いからだろう。
近所の人たちもやってきて、眺めはじめた。
挨拶回りのときには出会わなかった人たちも覗きに来てくれたので。
引っ越し前に、みんなとお話できてよかったな、と万千湖は喜んだ。
そんな万千湖の横で駿佑がぼそりと呟く。
「なんかあの中にお前、入ってそうだな……」
振り返ると、駿佑の目は、クレーンで天高く吊るされているリビングを見ていた。
私、ここにいますよっ!?
と思ったのだが、おそらく、万千湖は駿佑に、
なんだか、うっかり入り込んで、リビングと一緒に吊るされそうな奴、と認識されているのだろう。
……やりそうだけど、やってませんよ。