OL 万千湖さんのささやかなる野望
「で、そのバイクに乗って仕出し屋さんに買いに行くんですが。

 いざ、注文しようとしたとき、ふと不安になりまして。
 神様とハウスメーカーさん、同じものでいいのかなって。

 でも、仕出し弁当、一種類しかなくて。

 じゃあ、二個買って神様に差し上げたら、二倍な感じがするからいいかな、と思ったところで、寒くて目が覚めました」

「とりとめがないな……」

 はい、と言いながら、万千湖はなんとなく、夢で見た土地の神様に向かって手を叩き、拝んでみた。

 駿佑も、まあこれから、ここに住もうというのだから、土地に手を合わせるのも悪くないだろう、と思ったらしく、一緒に手を叩いて拝んでくれた。

 しょうもない万千湖の夢のせいだとは思わない近所のご老人たちの間では、偉く信心深い若い人たちが引っ越してきたと後から噂になったようだった。

 ところで、このユニットが組み上がる日が、一般に言う棟上(むねあ)げの日なのだが。

 実はこの日を迎えるにあたり、ちょっと一悶着あったのだ。



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