OL 万千湖さんのささやかなる野望



 その日、駿佑は夢を見た。

 見学会と引越しの日に、万千湖が残り二枚のデートのシールを貼ってしまう夢だ。

 それはデートじゃないだろうっ、と思ったとき、何故か白無垢を来た万千湖が共有スペースのリビングで両手をついて頭を下げた。

「これでデートは三回です。
 無事にご恩が返せました」

 いや、いつ、なにをどうやって返したっ?

 っていうか、恩ってなんだっ?

「お世話になりました」

 万千湖が玄関を開けると、羽織袴を着た黒岩が立っていて、万千湖は彼に手を引かれ、芸能界に戻っていった。

「女優になります」
と最後に言って。

 いや、お前、絶対セリフ言ってる途中で笑い出すから無理だろうっ。
 表情作ったりできそうにないしっ、と思ったところで目が覚めた。





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