OL 万千湖さんのささやかなる野望
「まあ、新居で初めて二人で過ごす夜だから、寝過ごしても仕方ないかもしれないけど。
みんなを待たせてるんだからね」
作業を終えたあと、双方の家族や親族と共有リビングでコンビニ弁当を食べながら美雪が駿佑を叱る。
駿佑は、いやいや、勝手に一時間早く来たんだろ、という顔をしていたが……。
浅海が、
「万千湖、今日は引っ越しだから仕方ないけど。
今度みんなで集まるときは、ちゃんとしたもの作りなさいよ。
……あんたの作れるちゃんとしたものって、なにかしらね」
と言い出し。
あら、私がなにか作ってきますよ、いえいえ、私が、と美雪と浅海が話し出したので。
困った火の粉が飛んでこないよう、『得意料理は冷凍食品』な万千湖は庭に逃げた。
庭には、引っ越しを手伝ってくれた従兄の純と、彼の年の離れた弟がいた。
小学生の比呂だ。
高学年だが、まだまだ幼い彼は、意味もなく広い庭を駆け回っている。