OL 万千湖さんのささやかなる野望
 だが、もちろん、降りそそいではこなかったので、お土産物屋でオウサマペンギンのぬいぐるみを見ていると、駿佑がひとつ買ってくれた。

「ありがとうございますっ。
 お礼に私も課長になにか」

「いや、いい」

 いえ、それでは気がすみませんのでっ、と言うと、
「じゃあ、ペンギンの小さいのを」
と駿佑は言ってきた。

「同じサイズのでよくないですか?」

 万千湖はずらりと並ぶ、いろんな種類とサイズのペンギンを見ながら言った。

「いや、小さい方が可愛いから」

 遠慮なのか、ほんとうに小さい方がいいのか、わからなかったが。
 駿佑が小さいペンギンを手にレジに行ってしまったので、万千湖は、そのイワトビペンギンを買ってあげた。

 黄色い冠羽(かんう)と鋭い目つきが怖可愛いぬいぐるみだ。

 イルカのショーを待ちながら、万千湖は膝に可愛いオウサマペンギンをのせ、名前で迷う。

「課長に買ってもらったから、名前は『カチョウ』にします」

「だったら、俺はこいつをシラユキにしないといけないじゃないか」

 いや、別にいけないわけではないですが……と万千湖は駿佑の手にあるドスの効いた目つきのイワトビペンギン、シラユキを見る。
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