暴走環状線
〜東京池袋〜

黒光のする高層ビルの玄関前に車を停める。
ミニスカハイヒールの脚に、行き交う人々の視線が集まる。

「紗夜、行くわよ」

車を降りて玄関に向かう2人。

「しかし、凄いわね…」

「ですね、さすが世界に名だたる岩崎建設」

「違うわよ、あの車よ。《《読んで》》ないの?007かMIPみたい。」

「あ、そっちね、確かに。普段は覗きません。プライバシーの侵害ですし、知りたくないことも多いから…」

「そっかぁ〜大変よね、同情するわ」

大きなガラスの自動ドアが開く。
すれ違う皆んなが、親しげな笑顔で会釈や手を振る。

「咲さん、良く来るんですか?」

「まさか、初めてよ」

受付に立つ。

「お疲れ様です。どうされました?」

「不動産営業部は何階かしら?」

「はい?」
キョトンとする可愛い受付嬢。

「8階です」
条件反射的に、紗夜が彼女の心を読む。
その混乱している様も。

閉まりかけるエレベーターへ紗夜が走る。
それを見た1人がドアを開いた。

「ありがとうございます」
礼を言って乗り込む2人。

「今日もセクシーですね!」
別の1人がニヤけながら声をかけた。
彼を睨む咲。

「それってセクハラよ、次言ったら殴るから」

「ダメですよ!」

(うひゃー、強気な美夜さんもいい!)
(美夜…さん?)
わけの分からない紗夜である。

8階。
扉が開き、目の前に不動産営業部があった。

「またよろしく〜」
背後から彼の黄色い声。
戻りかける咲の腕を引き止める紗夜💦

ドアが開くと受付嬢がいた。
サッと手を出し、開きかけた口を止める咲。

「砂辺部長に会いたいんだけど、いる?」

「はい?」
キョトンとする可愛い受付嬢。

「もういいわ💧」
スタスタと中へはいる咲。

「砂辺ぇーいるか❗️」
立ち止まって大声で叫んだ。

(うわっ、キレてる💦)
慌ててぺこぺこする紗夜。



「マヂか⁉️」

奥のソファーで美夜が呟く。
2人を交互に見る部員達。

紗夜も彼女に気付いた。
(えっ?咲さんの分身…)

そんなわけはない💧

「呼んだか〜」
部長の砂辺 謙一が出てきた。

「なんだ、美夜か。どうした?」

「違うわよ部長!」

「おお、美夜。そこにもいたのか」

そんなわけないって💧

「ええェー⁉️」

紗夜含めて、全員が合唱隊を組んだ。
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