暴走環状線
〜山手線内〜
菅原、相沢、時任。
3人もそれぞれの車内で、全てを見た。
10年前の事故映像が終わる。
車内には事故を覚えている者も多い。
相沢と時任の携帯が鳴る。
「誰なんだ、お前は?」
「お前は誰だ?」
「私ですよ相沢部長」
「私よ、時任さん」
「戸澤か?どういうつもりだ」
「恭子、何のつもりだ」
電話が切れた。
代わりに車内のモニターに、車両の席に座った少女が映る。
「お父さん!」
周りの乗客が慌てて離れてる。
画面が引き、突きつけられた拳銃が見えた。
「銃だ!」「キャー!」
乗客が更に逃げるのがわかる。
映像は、今までと同じ様に都内の公共モニターやネット上、裏サイトにも流れていた。
更に引いて、銃を持つ土屋香織が写る。
「土屋…香織」
刑事課、公安部、国交省、帝都銀行。
彼女を知っている全ての者が呟いた。
「皆さん、ご迷惑をおかけして、すみません。私の娘は、10年前のあの事故で死にました。他にも18人の幼い子供達が死にました。今、この山手線の各車両に、その子達の父親や母親が27人乗っています」
「なに⁉️」
各所はもちろん、車内でも驚きの声が上がる。
「山手線内回りを走る全ての車両に、爆弾が仕掛けてあり、電車が止まれば爆発します」
騒めきが増す。
「ご安心下さい。走っていれば安全であり、事が終われば、皆さんに危害を加えるつもりはありません」
「土屋…キサマ最初から」
菅原の声が入る。
カメラがその姿を写す。
「スマホ画像ですね」昴が呟く。
そこへ、紗夜が戻って来た。
彼女は出動せずに、残ると決めたのであった。
「この男は、日本帝都銀行の菅原義光社長。この国の悪の権現《ごんげん》です」
「社長!どうして?」社内で声が上がる。
10年前の事故後の監視カメラ映像に変わる。
「あの事故は、たった一つの信号機のせいで起こりました。でも、公表されている信号機の故障は、嘘です」
「なに⁉️」
「あの信号機は、少し前から赤のままで、故障してました。だから衝突した運転士は、いつも通り赤信号を無視して突っ込んだんです。」
杜撰《ずさん》な鉄道の整備状況に、恐怖を感じる乗客たち。
「この運転士は、業務上過失致死罪で逮捕されましたが、信号機の故障が原因となり、釈放され、飛ばされた地で死亡しました」
あちこちで騒めきが起こる。
「山岸は、お前らが殺したんじゃねぇか」
現場を見た豊川が毒づく。
「ち…ちがう」
紗夜には、土屋の声からそれが分かった。
「しかし❗️事実は違います。実際には一人の整備士が、その直前に信号機を直していました」
熊谷拓哉が信号機を蹴り、青になった時、実は回路の導通不良が直っていたのである。
「事実、あの信号機は、あれ以来今も正常に動いています」
「隊長に怒られた、あの古い信号機か…確かに修理記録は、隊長の1回だけだったな…」
新人整備士が思い出していた。
「業務上過失致死罪が正しい罪状だったのです。私達は、その事実を運転士に伝え、毒による自殺の機会を与えました。彼も10年間ろくに眠れず、苦しんで生きていたのです。結果、彼は死を選びました」
美濃太田駅で降りた加藤恭子は、真っ先に駅舎内の山岸に会い、全ての真実を打ち明けたのであった。
「山岸は、毒入りと知ってて…食べたのか」
呆然とする豊川。
紗夜の頬を涙が伝う。
映像に、ホームで握手する2人が映る。
「今、握手したのが、当時現場で指揮をした、警視庁公安部の相沢湊人、そして、国土交通省執務官の時任亮介。彼らは信号機の故障ではないことを知った上で、その事実を隠したのです。そうさせたのは、この菅原義光❗️」
再び菅原が映る。
「デタラメだ❗️全てコイツらの嘘だ❗️」
必死で否定する菅原。
しかし、世間の目は権力者の不正は許さない。
「今走っているこの山手線の車両のどれかに、相沢湊人も、時任亮介も乗っています」
映された写真を見て、二つの車両で、乗客達が2人から遠ざかった。
土屋の告げた真実により、警察の筋読みは、ことごとく裏返されたのである。
菅原、相沢、時任。
3人もそれぞれの車内で、全てを見た。
10年前の事故映像が終わる。
車内には事故を覚えている者も多い。
相沢と時任の携帯が鳴る。
「誰なんだ、お前は?」
「お前は誰だ?」
「私ですよ相沢部長」
「私よ、時任さん」
「戸澤か?どういうつもりだ」
「恭子、何のつもりだ」
電話が切れた。
代わりに車内のモニターに、車両の席に座った少女が映る。
「お父さん!」
周りの乗客が慌てて離れてる。
画面が引き、突きつけられた拳銃が見えた。
「銃だ!」「キャー!」
乗客が更に逃げるのがわかる。
映像は、今までと同じ様に都内の公共モニターやネット上、裏サイトにも流れていた。
更に引いて、銃を持つ土屋香織が写る。
「土屋…香織」
刑事課、公安部、国交省、帝都銀行。
彼女を知っている全ての者が呟いた。
「皆さん、ご迷惑をおかけして、すみません。私の娘は、10年前のあの事故で死にました。他にも18人の幼い子供達が死にました。今、この山手線の各車両に、その子達の父親や母親が27人乗っています」
「なに⁉️」
各所はもちろん、車内でも驚きの声が上がる。
「山手線内回りを走る全ての車両に、爆弾が仕掛けてあり、電車が止まれば爆発します」
騒めきが増す。
「ご安心下さい。走っていれば安全であり、事が終われば、皆さんに危害を加えるつもりはありません」
「土屋…キサマ最初から」
菅原の声が入る。
カメラがその姿を写す。
「スマホ画像ですね」昴が呟く。
そこへ、紗夜が戻って来た。
彼女は出動せずに、残ると決めたのであった。
「この男は、日本帝都銀行の菅原義光社長。この国の悪の権現《ごんげん》です」
「社長!どうして?」社内で声が上がる。
10年前の事故後の監視カメラ映像に変わる。
「あの事故は、たった一つの信号機のせいで起こりました。でも、公表されている信号機の故障は、嘘です」
「なに⁉️」
「あの信号機は、少し前から赤のままで、故障してました。だから衝突した運転士は、いつも通り赤信号を無視して突っ込んだんです。」
杜撰《ずさん》な鉄道の整備状況に、恐怖を感じる乗客たち。
「この運転士は、業務上過失致死罪で逮捕されましたが、信号機の故障が原因となり、釈放され、飛ばされた地で死亡しました」
あちこちで騒めきが起こる。
「山岸は、お前らが殺したんじゃねぇか」
現場を見た豊川が毒づく。
「ち…ちがう」
紗夜には、土屋の声からそれが分かった。
「しかし❗️事実は違います。実際には一人の整備士が、その直前に信号機を直していました」
熊谷拓哉が信号機を蹴り、青になった時、実は回路の導通不良が直っていたのである。
「事実、あの信号機は、あれ以来今も正常に動いています」
「隊長に怒られた、あの古い信号機か…確かに修理記録は、隊長の1回だけだったな…」
新人整備士が思い出していた。
「業務上過失致死罪が正しい罪状だったのです。私達は、その事実を運転士に伝え、毒による自殺の機会を与えました。彼も10年間ろくに眠れず、苦しんで生きていたのです。結果、彼は死を選びました」
美濃太田駅で降りた加藤恭子は、真っ先に駅舎内の山岸に会い、全ての真実を打ち明けたのであった。
「山岸は、毒入りと知ってて…食べたのか」
呆然とする豊川。
紗夜の頬を涙が伝う。
映像に、ホームで握手する2人が映る。
「今、握手したのが、当時現場で指揮をした、警視庁公安部の相沢湊人、そして、国土交通省執務官の時任亮介。彼らは信号機の故障ではないことを知った上で、その事実を隠したのです。そうさせたのは、この菅原義光❗️」
再び菅原が映る。
「デタラメだ❗️全てコイツらの嘘だ❗️」
必死で否定する菅原。
しかし、世間の目は権力者の不正は許さない。
「今走っているこの山手線の車両のどれかに、相沢湊人も、時任亮介も乗っています」
映された写真を見て、二つの車両で、乗客達が2人から遠ざかった。
土屋の告げた真実により、警察の筋読みは、ことごとく裏返されたのである。