ハロー、愛しのインスタントヒーロー
絞り出すように呟いた絢斗の声に顔を上げれば、苦し気な瞳とぶつかった。
「そんなの、好きしか答えられないに決まってるもん……僕は、僕はもう、ずっと前から奈々ちゃんのこと、」
大好きで仕方ないんだよ。
そう紡ぐ唇の動きを、染まる頬の色を、一つも見逃さないように目に焼き付ける。
誰にねだられたってあげやしない。私の、私だけのヒーローだ。
「僕はばかだから、難しいこと何も分かんないけど……みんなが言うようなものじゃないのかもしれないけど、それでも、奈々ちゃんへの好きは、特別なんだ」
くしゃりと表情を歪めた絢斗が、ごめんね、と肩を震わせる。
「傷つけてごめんね。奈々ちゃんの夢、叶えられなくてごめんね。好きになってごめ――」
堪らず抱き締めた。力一杯、心臓と心臓がくっつくくらい、きつく。
「絢斗、もういい。もういいよ……」
好きになってごめんね、なんて、そんなことを言わせてしまうくらい追い詰められていたのを、彼の痛みを、私はこれっぽっちも理解できていなかった。
いい加減に目が覚めた。
彼のこの眩しい想いが純愛じゃないなら、何が純愛なのだろう。世界中、これ以上に綺麗な愛があるのなら、誰か教えて欲しい。
「普通も、みんなも関係ない。絢斗は絢斗だよ。私は絢斗が大好きで、大切だよ」