禁忌は解禁された
「えーーーー!!!!?」

「ちょっと!志乃!静かにしろ!?」
「そうだよ、志乃!シー!!」

暁生が神龍組に入ったことを志乃に話すと、志乃が声を荒らげた。
慌てて、暁生と一颯が押さえる。

「あ、ご、ごめん……でも、なんで?暁生、どうしちゃったの?」
「一颯の傍にいたくて」
「あんた!そんな理由で入ったの!!?バカじゃん!!」
「バカだよ。でも、これでも散々考えた上なの!!」
「そこまでして、なんで……?
一颯の心は手に入らないんだよ?」

「お前にはわかんねぇよ……!?」
「そうね」

「……………じゃあ、俺。
行くから!また後でね、姫!」
「うん…」
「バカな男…」
暁生の背中を切なそうに見つめる、志乃。

「志乃?
志乃、もしかして……暁生くんのこと………」
「別に!」
「志乃……」
「あ、ごめんね…」
「ううん…」
「わかってるから。
暁生は、一颯“しか”見てないこと」
「ごめんね…私、なんて言ったらいいか…」
「いいの…!そんな顔しないで、一颯!
ほら!早く食べよ!バイキングは、時間制限あるんだよ!一颯、遅いから食べきれないわよ!(笑)」

「あー、酷ーい!」
「フフ…ほら!行こ?」

「井田くん、これは井田くんの分ね!」
「姫?」
「井田くん、お魚好きでしょ?」
「はい。俺の分はいいんですよ?」
「いいの!井田くんと一緒に食べるの初めてだね!」
「そうですね!」

「え?一緒に住んでるのに?」
実子が不思議そうに言う。
「はい。俺達は、組長や姫と一緒の席には本来つけないので……それが可能なのは、今は銀二さんだけです」
「そうなんだ」
「でも、銀くんとも一緒に食べたことないよ」
「そうなの?」
「うん。
“滅相もありません!”って言うの!」
一颯が銀二の真似をして言う。

「え……今、一颯……銀二さんの物真似した?」
「うん、結構似てるでしょ(笑)?」

「………」
「え?み、みんな?」
「………フッ…!!!」

ハハハーーーッ!!!!と志乃達に大爆笑される、一颯。井田も横でクスクス笑っている。

「え?え?変?
井田くんまで、何ーー!!」

「姫、可愛いですね!」
「は?」
「「「可愛いーーー!!」」」

終始、笑われる一颯だった。

それからドリンクを取りに行き、何にしようか選んでいると……
「あれ?一颯ちゃん?」
「え?あ、宮原(みやはら)くん?」
「一颯ちゃんだ!」
伊敷(いしき)くんも!」
「久しぶりー!ランチ?」
「うん!志乃達と!」
「へぇー、俺達は会社の懇親会でさ!
まぁ、宮原はダチだからってんで来てるけど」

宮原と伊敷は、一颯の大学の同級生だ。

「どこの席?俺達も、一緒━━━━━━」
「姫!!」
「あ、井田くん!」
「席に戻りますよ。
あまり、お一人にならないでください!」
「え?でも、ジュース……」
「では、俺はお持ちしますので、席へ戻ってください!」

「井田?」
「井田って……お前っ……!!?」

「「井田 真絋(まひろ)!!!」」
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