臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
挨拶してくれたのはボウズに近い髪型の男子。

何だろう。心が洗われていくような心地がした。

澪の家族として沈んでいたからかもしれない。



「ありがとう」



そんな気持ちを込めて,私は微笑む。



「やっば。まじ可愛い」



悶えるように体を丸めた夾くんは,それ以上なにもいわない。

それよりも何故か不機嫌を増していく澪が,ただただ怖かった。

な,なんでなの…。

夾くんの言葉を聞いてハッとしたのか,残りの2人も声をかけてくれる。



「あっ俺もすんません。松山 礼夢(まつやま らいむ)で~す」

橋本 海(はしもと かい)…です」


礼夢くんはどこかノリが軽く,人当たりの良さそうな人。

大人しそうな海くんは,3人の中で特に女の子にモテそうな顔をしていた。
< 22 / 262 >

この作品をシェア

pagetop