辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
そして内通者など裏切り者が近くにいることにゾッとしてしまう。
しかし、それ以上に今はアレックス様の安否が気になって仕方ない。

「まーま?」
この空気に敏感に反応したアンネの心配そうな声に、私は笑顔を作る。

「なんでもないのよ」

「おとーたま」
皆の前でその言葉を発した私はハッとするも、コレットさんが泣きそうな笑みを浮かべる。

「アンネは本当にアレックス様に懐いているものね。お父様だと思うのも当然だわ」

アンネの父親については亡くなったとコレットさんには話してある。アレックス様もかわいがっているのを知っているコレットさんが思い出したのか目頭を押さえた。

そのまま策がなく、私たちはただ黙り込んだ。


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