辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
そう思った時、不意に力なく彼の腕が私の手を握りしめる。

「フェリーネ、どこだ?」
「ここにおります」

そっと瞳が開いたと思えば、焦点が合わず彷徨う。

「アレックス様!」

そう名前を呼び手を握りしめて、無意識にその紫色に変わったその手を自分の頬につける。

そして、持てる力で治癒魔法を彼に流し込む。

それほど強くない魔力がすぐになくなりかけるのを感じて、私はドアの向こうに大声を上げる。

「誰か! 誰か来て!」

そう叫ぶとバタバタという音と一緒にコレットさんが入ってくるのが分かった。
その姿を見て安堵したのか、私の意識もプツリと途切れた。

次に目を覚ました時、窓の外から明るい光が差し込んでいた。

どれくらい眠ったのだろう。重たい身体を起こしてハッとする。

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