辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
そう言うと、アレックス様は立っていた私の手を引く。バランスを崩した私はアレックス様の腕の中に倒れるような形になってしまった。

「フェリーネ。君の元へ戻ってこれて本当によかった」
心から少し震えた声のアレックス様に、私は緊張の糸が解れたのか、ポロポロと涙が零れる。
今回のことで嫌というほど思い知らされた。今でも私はこの人を忘れてなどいなかったことを。

「アレックス様……よかった……」
涙を止めることができなくて、彼の寝着をギュッと握りしめる。

「フェリーネ、泣かないで」
大好きな笑みで私に言うと、アレックス様は両手で私の頬を包み優しく涙を拭ってくれた。

それから、数日でアレックス様は驚くほどの回復を見せた。

「アンネ、おいで、お庭に行こう」

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