辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「あの子は、本当にかわいそうな子なのです。母君が亡くなられて手を出してはいけない薬に手を染め……。精神を崩壊してしまいました」
ただの興味本位で尋ねられたと思ったのか、義母はまるで亡くなったとでも言いたげに饒舌に語る。その言い方に、私は壁の向こうで唖然としてしまう。

「それで今は?」
「それは災難ですね」と言った感じのアレックス様の声に気をよくしたのか、義母がペラペラと嘘を連ねていく。

「静かな地で静養させていたのですが、そこから逃げ出してしまい……。かわいそうな娘です」
とうとう泣き出したようで、父が「かわいそうなことをしたな」と白々しい声を上げる。その声に、どんどん私の気持ちも冷めていく。

そこにファンファーレが鳴り響き、誰かが来たことがわかる。

「フォルク大公!」
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