辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「気にしないでください。それなりに楽しくやってるんですよ」
しんみりした空気が嫌で、私は明るい声を上げると、彼の目の前にキノコのスープを置く。
私の魔力は多くはないが、最近気づいたのは、どうやら治癒の能力が少しだけ高いらしく、栄養価もアップする気がする。

「いただきます」
きちんと挨拶をして、綺麗な所作でスープに手を付ける。
ひょっとしたら、そこそこの身分の人ではないか。そう思うも、こんなところに一人で来るなんて、私同様に訳アリかもしれない。
そう思うと、詮索することはやめた。

「少しは魚は取れるの?」
パンを口にしながらアレックスが言うと、私に視線を向けた。

「ええ、下流はまだ水もきれいで魚もいるけれど、私は釣りがあまり得意じゃなくって。町ではいつも必要最低限のものしか購入しないの。荷物も持てないから」
何気なく言った言葉だったが、アレックスは納得したような表情を浮かべた後、笑顔を浮かべた。

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