辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
何でもないように言うと、アレックスは「俺も助けられたよ」と言いながら、次の薬草を潰してくれる。
そして、少しの無言の後、手を止めて私を見つめる。

「治癒は本当に一部の限られた人しか持っていないんだ。誇りに思えばいい」
真剣なその瞳に、今までそんなことを言ってもらったことがなかった私は、急に涙が零れそうになる。

こんなことで泣くなんて、アレックスは困るだろう。少し顔をそらして零れそうになった涙を拭うと、私は無理やり笑顔を作る。

「ありがとうございます」

そんな私に、彼も綺麗な笑みを浮かべてくれた。
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