辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「これは滋養強壮の薬になります」
口に出しながら作るのが私のやり方だ。そうすることで、きちんと薬にも魔力が宿る。
少ししかないが、治癒魔法が使える人間は少ないので、心を込めて作っている。

「ああ、リーネの葉だな」
珍しい葉を知っていたことに、私は驚きつつ彼を見た。

「アレックスは詳しいんですか?」
「さあ」
彼の曖昧な返事に、私もまた手元に視線を戻した。

粉にしたものを鍋に入れて煮詰めていき、精製液を入れると、それが固まっていく。
それを一回分に分けて紙で包んでいく。

「この精製液も自分で?」
アレックスは固まった薬を見ながら、少し驚いたような表情を浮かべた。
精製液は自ら不純物を取り除いて作るのだが、ろ過する段階でどうやら私の治癒魔法のせいか、純度の高いものになると同時に、固める成分もできるようだ。

それに気づいた時も、今もその原理は詳しくはわからないが、混じりけなしで固められるこの方法は重宝している。

「はい、王族の人とは違うし、私はもともと魔力はごく少ししかないので。でも属性が治癒なので、それだけは救われているかもしれません」

血筋からすれば全く役に立たないとされていた私だが、平民として町へ来てからは、これが私の生活の糧となっている。
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