辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「それは……どうしてもかな。フェリーネだって、昔のようにこの森が戻ったら嬉しくはない?」

「え? 宝石を見つければ森が戻るんですか?」

噂ではいろいろあるが、所詮高価なものぐらいに思っていた私は、彼の顔を仰ぎ見た。
一瞬だけ顔が強張った気がしたが、アレックスはいつもの軽い口調で答える。

「いや。そんな伝説があるって街の噂で聞いたから。もちろん、その宝石は高額で売れるからだけどな」

「そうですか……」
まだ、何か理由がありそうに思えたが、これ以上聞くことができず、私は口を閉ざす。お互い言えないことばかりの私たちだから、今一緒にいるのかもしれない。

なんとなくそんなことを思いながら、私たちは調剤室から出て、小さな部屋へと戻った。
< 29 / 244 >

この作品をシェア

pagetop