辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
国民のほとんどは、生まれつきわずかな魔法を扱うことができる。

しかし、王族に流れる血は別格だ。その魔力はけた違いであり、彼らの力によってこの国は守られ、豊かさと秩序が保たれている。アルデール王国は広大な領地を持ち、雄大な山々、恵み豊かな大河、果てしない海――そうした守るべき場所には、それぞれ領主が置かれ、国を支えている。かつて、レントオールもその一つだった。

緑深い森に抱かれ、豊かな土壌に恵まれたこの地は、人々の暮らしを潤し、穏やかな時間が流れる場所だった。

しかし、ここ数年で何かが狂い始めた。理由はわからない。ただ、少しずつ森は痩せ、空気は淀み、水は汚れ、作物は実らなくなった。……だからこそ、私はここへ追いやられたのだろう。

ふっと、自嘲気味な笑みがこぼれる。

本来ならば、私は王都に屋敷を構える伯爵令嬢だ。しかし、父の結婚は形式だけのもので、母との間に愛などなかった。そして、私が十五のとき、母は世を去った。

それからほどなくして、父は長年関係を持っていた女を正式に迎え入れた。彼女は新しい伯爵夫人となり、ほどなくして異母妹と異母弟がやってきた。彼らが家に来てからというもの、私はまるで空気のような存在になった。
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