辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「あまり、状況がよくないようなんだよ。だから一度戻られて体制を立て直されるって」
「そう……」
一番初めに出会った時の、酷い状態の殿下を思い出し私は言葉を止めた。

そうならないためにも一度戻られるのだろう。
でも、どうして私はここにいるのだろう。
殿下を待つというこの状況に、胸の鼓動が早くなる。あの時失った思いは、もう私の中にはないはずなのに。
また、殿下と会うと思うと、ザラリとした砂を心の中にぶちまけたような気持ちになる。

もう、あの頃のように私は彼に接することはできない。
彼は王子なのだから。
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