辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
side アレックス

「グレッグ、一度戻るぞ」

馬の上から俺が声をかければ、グレッグはため息交じりに言葉を発する。
「仕方がありません」

国王直属の一番隊の隊長でもあるが、侯爵家の長男で俺の小さいころからの友人であるグレッグ。
長身で力も強く、魔力も高い。
年も俺より一つ上の、二六歳で頼りになる男だ。

俺とグレッグならばこれぐらいの瘴気は大丈夫だが、一緒に連れてきた兵たちが今にも倒れそうだった。

「申し訳ありません。鍛錬が足りませんね」
真面目すぎるほど、忠実なグレッグに俺は苦笑する。

「そんなことはない」

「撤退」
グレッグの声に、数十人の兵が踵を返し、来た道を戻る。

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