辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
「殿下、このような事態になったからと言って、また一人で行くことは認められません」
二年前のことを言っているのが分かり、俺は無言になる。

「あの時、数か月目を覚まされなかった時の、国王様や王妃様のお気持ちをお考えください」

「兄がいるから大丈夫だろ」
さらりと言った俺に、グレッグは隣の馬から、キッと俺を睨みつける。

「本気でそんなことを?」
「冗談だよ」
半ば本気だが、こんなところでグレッグと言い争っても仕方がない。

二年前、俺は持てる魔力を駆使して歪の場所を封じた。この原因は何としてでも、王族である俺が止めなければいけない。

兄より強いその魔力を持った俺は、そのために必要なだけだ。国を統治するのは兄でいいのだ。

少し卑屈なことを考えてしまった自分を戒めつつ、俺はあの日のことを思い出す。

ぎりぎりのところで封印をした俺は、かなり時間を要したようで、かなり毒に侵されていた。
転移も無我夢中で、王都の端の砂漠で倒れていたのを発見されたときは、かなり危険な状態だったらしい。
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