辺境に追いやられた伯爵令嬢は冷徹な王子に溺愛される
そこでグレッグから聞いていた通り、相変わらず美しいフェリーネと、愛らしい小さな娘。

何を言うつもりで会いに行ったのか、自分でもわからなかったし、何も言えない俺の前でフェリーネは倒れた。

「アレックス殿下」

静かに呼ばれたその声に、俺は意識を戻すとグレッグを見た。

「あの女性はもう帰されたのですよね?」

あの日、誰にも言わずに外出したことにグレッグはかなりの怒りを俺に向けた。

そしてあろうことか、かなりの魔力を消費する転移で、フェリーネとアンネを連れて城に戻った俺に、グレッグはかなり険しい表情をしていた。

『どうしてその女性を!』

冷静に言っているつもりだろうが、明らかに苛立ちを含むグレッグに、俺は何も答えなかった。
『確かに誰でも旅人をたぶらかしている』グレッグはそう思っているし、いい顔をするとは思っていなかった。
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