ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
何というか・・
教授は俺に、膝枕をさせて眠っている。

漆黒の髪が乱れて、華奢な首筋にかかる。

シャツの隙間からのぞく肌は、
陶器のようにすべらかで
発光するように白い。

どうすればいいのか・・・
膝にかかる教授の頭の重さを
感じつつ、
俺はジャケットの内ポケットから
携帯を出した。

アングルを変えて、何枚か眠っている教授の写真を撮った。

ガタン・・
列車が駅についた。

「う・・・ん」
ぼんやりとしているように、
目を薄く開けた。

「教授、お目覚めですか?
眼鏡はここに」

俺が上から声をかけると、
視線があった。

「ぎゃう・・・」
カエルがひしゃげたような声を
出して、
教授はばねが入っているように、
元の姿勢に戻った。

「よくお休みでしたね」

教授は俺からできるだけ体を離そうと、態勢を変えたが、

「俺の膝枕でよくお休みで・・・
ああ、これってセクハラですかね?」

俺は眼鏡を、教授に渡しながら言った。
教授は俺の手から、眼鏡をひったくり、急いでかけた。

「そそそ・・んな、」
教授は顔が真っ赤だ。

人形がうろたえるのを、はじめて見た。
おもしろい。

「画像もあります。
表に出たら大きな問題になりますよね。
指導教官が研修生の膝枕で
寝ているっていうのは」
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