ひねくれた純愛 アイリスとカーライル

ゆすり事件

<研修とは>
研修とは名ばかりに、
俺の仕事はほとんどやることはなかった。
さぼるわけではないが、
命じられることもない。

せいぜいラングレーの助手程度で、暇を持て余していた。

昼休みに、俺はトイレの個室で、
別の女と、デートの約束の連絡していた。

バタン

トイレの洗面所で、誰かの声が聞こえる。
「今度、監査があるから、資料作りが大変だ」

「所長は全部ハミルトンにやらせるつもりらしいぜ」
「ええ?一人じゃ無理だろ」

「所長いわく、彼女が一番古株で
詳しいから・・と言っている」

「ハミルトン教授は・・?」
「何も言わず、書類を受け取っていたよ。
昔みたいにはいかないからな。
所長の嫌がらせのひとつだろう。
辞めさせるようにするための
布石だ」

パタン

トイレのドアが閉まり、誰もいなくなった。
膨大な書類仕事、問題児の俺の監督、監査業務の責任者・・

いくらでも、いちゃもんをつけられるように、
周囲を固めて追い込んでいく
辞職への常套手段だ。
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