ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
俺は素早く教授の手首をつかみ、
壁に体を押し付けた。

彼女の両ひざの間に、片足を強引に入れる。
その体は想像以上に柔らかい。

「研修所内で銃を出すのは、
もっとまずいですよね。
問題行動です」

標本の昆虫のように、
壁に貼り付けになっている教授を
見ると、
泡立つような感覚が、俺の体を貫いた。

顔をそむけるようにしているが、
そのあらわになった白い首筋が
美しい。

「要求は・・・なんだ?
話を聞こう。
まず、君の携帯を机の上に
投げなさい」

その声は平静を装っていたが
上ずっていた。
俺は言われた通りに、ジャケットのポケットから携帯を取り出して、机に投げた。

「仰せの通りに・・」

「何の取引か・・」
「キスをしてみたい」

俺は自分の欲望を、正直に答えた。
その瞬間、
教授の体に緊張が走った。

教授は壁寄りに顔をそむけたまま、固まっていた。
そのまま、何も言わなかった。

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