ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
俺は・・・
その首筋に唇を添わせて、
キスを・・・
その跡がしっかり残るようにした。

ぐっ・・

教授が唾を飲み込むのがわかる。
唇を離し、その白い首筋に赤い跡が残っているのが見えた。

「もう・・いいだろう・・」
教授の声はかすれていた。

「楽しみは後に取っておく主義なのでね・・俺は。
それにハミルトン夫人、
あんたは・・
まだ男を知らんでしょう?」

その瞬間、
教授の指先に力が入った。

その答えは・・
体の緊張は・・
YES・・図星だった。

そして、怒りに満ち、涙であふれた目で俺を見た。

屈辱と怒りの感情。
俺の手の力が緩んだと同時だった

パーーーン
教授の平手打ちが放たれた。

そのままずるずるとしゃがみ込んで、机にあった俺の携帯をつかんだ。

「バカにするなっ!」
そう言うと、

机の上の花びんから花を引き抜き、俺の携帯を水没させた。

ガラスの透明な花びんの中で
俺の携帯は、見事に沈んでいる。

「出て行け・・・」
その声は力がなく、
机に両手をついてうつむいている。

「わかりました。失礼します」
俺は平手をくらった頬を手で
押さえて、部屋を出た。

俺はひねくれている。
本当に好きな人に、好きだと言えない。

ガキの頃から・・
好きな女の子の気を引きたくて、
からかう、意地悪をしたくなる。

そして嫌われる。
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