ひねくれた純愛 アイリスとカーライル
「では・・なぜ・・」
「俺は・・・
教授の指導教官になりたいのかな」

「指導教官・・?」
イヤリングが、首をかしげるのと
同じ動きで揺れる。

髪も揺れた瞬間、
微かに首筋に、赤い印が残っていたのが見えた。

「ええ、あなたの苦手な分野のね」
そう言って手を伸ばして、
教授の手を握りしめた。

俺はひねくれているので、
本当に好きな相手には、愛しているとは素直に言えないのだ。

教授は手を引こうとしたが、
俺は離さなかった。

「離しなさい・・」
その声は・・弱い。

そして、その手は、
冷たくて小さい。

俺は手を緩めると言った。
「わかりました。
それではここを出ましょう」

俺がウェイターに合図をした時、
教授はバックからカードを取り出そうとした。

「この場は俺が・・」
「でも・・誘ったのは私だが」

教授は納得がいかないといった
表情で、俺を見た。

「デートっていうのは、
こういうものなのです」
俺は指導教官らしく言った。
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