クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 レーニスがいつもは一人で過ごしていた食事の時間を、このようにデーセオと過ごす時間にかわったことで、心の中の雨が上がったような気分になっていた。
 彼を見て気付いたのは、どうやら生の野菜は苦手だということ。子供のようにジョナサンとやり取りをしている。それを見て、思わずぷっと吹き出してしまうと、デーセオは焦ったかのように顔中を真っ赤に染め上げた。

「奥様のほうからも言っていただけませんか?」
 ジョナサンが困ったように声をあげている。そのようなことを言われても、レーニスも困る。どのように声をかけていいのか。とりあえず思いついた言葉を口にすることにした。

「旦那様。少しずつでいいですから、食べましょうね」

 レーニスが慈愛に満ちた笑顔を浮かべていたため、ジョナサンもサンドラも笑いをこらえていた。
「レーニスがそう言うならば」
 と仕方なくフォークを動かし始めたデーセオ。このときジョナサンが「さすが奥様です」と思ったとか。
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