クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
復活の兆し
 朝食を終えたデーセオは、レーニスと共に執務室へと向かっていた。この新妻は嬉しそうにニコニコと笑顔を浮かべている。あまりにも楽しそうに見えるので。
「どうかしたのか」
 とデーセオもつい声をかけてしまった。
「いえ。ただ、このように旦那様と一緒にいることができて。その、嬉しいと思っております」

 デーセオは危うく鼻血を噴きそうな気分になった。なんだ、この隣にいる可愛い生き物は。

「そ、そうか。その、すまなかったな。仕事の方が、その、なかなか手が空かなくて、だな」
 まぎれもなく言い訳である。むしろ、半分以上は嘘でできている。

「あ、はい。旦那様が竜騎士部隊をまとめていらっしゃることはお聞きしておりますので。あ、お茶、淹れますか?」
 二人で執務室に入るとすぐさまレーニスがそのように提案してきたため「頼む」とだけ答えた。
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