クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「そうか」
 そこでデーセオも考えるところはある。もしかしたら彼女は、あの神殿に戻りたいのではないか、と。彼女に力が戻ったことは喜ばしいことではあるが。

「レーニス」

「はい」

「もしかして、神殿に戻りたいのか?」

 レーニスは驚いてデーセオの顔を見上げた。これは完全に二人きりの世界である。恐らくティメルのことを忘れているのだろう、とティメルは思わずにはいられない。

「あ、いえ。そういうわけではありません。それに、一度聖女候補を解かれた身。そんな簡単にあそこへ戻れるとは思っておりませんし」

「そうか」

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