クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「行くぞ」
 デーセオが馬の腹を蹴ると、馬はゆっくりと歩き始める。レーニスは恐る恐るという表現が似合うような状態で身体をデーセオに預けているのだが、デーセオとしては、これは願ったりかなったりの状態である。

「怖くはないか?」
 彼女の頭の上から声をかけてみると、ピクリと可愛らしい耳が動くのが見えてしまい思わずパクリと唇で食みたくなったが、そこは我慢する。

「は、い。大丈夫、です」
 レーニスはいろんな意味で緊張していた。馬に乗っているという事実も緊張する要因の一つだが、後ろにデーセオがいるというのもその要因の一つ。
 のんびりと馬を走らせて三十分。飛竜舎へと着いた。

「お待ちしておりました、デーセオ様、レーニス様」
 迎えてくれたのはティメル。優秀な部下はどこまでも優秀だった。
「この飛竜舎の隣には、竜騎士たちの宿舎も併設されております。竜騎士たちは普段はそちらで寝泊まりをしているのです」

< 186 / 318 >

この作品をシェア

pagetop