クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 デーセオは全身を何か温かいもので満たされている気分だった。レーニスと触れている手の平からじんわりと温かい何かが注がれている。それが血流にのって、全身に流れていく感じ。その温かいものが全て顔に集中していくような感じがした。頭が割れるように熱い。

 パンッ――。

 目の前が真っ暗になり、そこに閃光が走ったように感じた。

「終わり、ました……」
 レーニスの柔らかい言葉でデーセオは我に返る。
「少し、喉が渇いたので、お茶をいただきますね」
 既に湯気の立っていないお茶を、レーニスは一気に飲み干した。

「部隊長のその顔を見るのは、半年ぶりです」
 と口にしたフォルクは今にも泣き出しそうな顔をしていた。

「素晴らしいものを見させていただきました」
 ヘッケは大きく息を吐き出すことしかできない。
「魔術師小隊も、喜んで聖女様にご協力いたします」

 レーニスの力は偽物などではない。本物の力である、と、ここにいる誰もが思った。
 本物の聖女を手放してしまった事に、あの神殿は気付いているのだろうか。
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