クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
『嫌ですよ。あの(ひと)のことですから、私をこき使って自分は悠々自適な引退生活を送るのが目に見えている。年と言ってもまだ四十代。デーセオ様とそんなに変わりませんよね?』

『おい。俺はまだ三十代だ』
 そんな彼の妻はまだ辛うじて十代。国王に言わせれば犯罪じゃないのかという年の差らしいのだが、二人が好き合っていて法律的に問題が無ければ、周りがとやかく言う問題でもない。

『当分、あの(ひと)を引退させる気はありませんよ。仕方ないですね。そういうことなら神殿の方の代表を選びます。それに、神殿の方がレーニス様との関わりはありそうですからね。魔術師団よりもこちらの方が楽しそうだ』
 そう、ティメルは楽しいことが大好きだ。神殿の代表ということであるならば、デーセオの大事な妻を利用して、デーセオを困らせることができる、かもしれない。
 だが、いがみ合うよりは助け合った方がいい。それは些細なことであっても。だからティメルはレーニスに助けを求めるつもりだ。特に、隣国との関係については。

 そして、クレイデル王国とサライト王国に新しい歴史が刻まれた。
< 303 / 318 >

この作品をシェア

pagetop