クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 だけど、途中でそれを解かれるということは、聖女候補になるよりも恥ずべきことだとされていた。つまり、その聖なる力は偽物の力だった、ということになるから。

「あ、あ、ありがとう、ございましたっ」

 頭を下げて、その言葉を発することしかできなかった。それを聞いた聖女様は満足そうに頷くと、そっとレーニスの手を離した。
 遅くても明日中には、この神殿から出ていかなければならない。さっさと自分の荷物をまとめておく必要がある。

 レーニスはもつれそうになる足をなんとか前へと進め、その礼拝室から立ち去ろうとした。後ろを振り返ってはいけない、と自分自身に言い聞かせ、胸を張ってその場を後にした。
 礼拝室の扉がぎーっと重い音を立てて閉まった時、レーニスは泣きたい気分に襲われた。あちらの空間とこちらの空間が分断されたような感じだ。
 だけど、ここで泣いてはいけないと唇を噛み締め、鼻の穴に力を入れ、溢れ出そうになる涙をなんとかこらえた。下を向いてはいけない、胸を張って自室へと戻る。

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